~国際標準化機構ISOが絶賛「彼らの嘘は芸術」~ 当主「これがジャーナリズムだ」
【東京・本社】先日、国際標準化機構(ISO)が制定を発表し、世界中の情報機関がその動向を注視していた「意図的な虚偽情報(デマ)の作成と伝達に関する管理システム」の国際標準規格「USO800」。この度、本紙・空想創作新聞社が、世界に先駆けてこの難関な認証を史上初めて取得したことが明らかになりました。ISOのデマ総裁は、「空想創作新聞の嘘は、まさに芸術の域に達している」と大絶賛。本紙は今後、金色に輝く「USO800認証マーク」を掲げ、「品質保証付きの嘘」を世界に発信していきます。
審査官を唸らせた「本紙の嘘」
USO800の認証審査は、想像を絶するほど厳格なものでした。本紙編集部には、数ヶ月にわたりISOから派遣された特別審査官チームが常駐。彼らは、本紙の過去記事はもとより、執筆過程の会議録、ボツになった企画書、さらには編集部員の雑談に至るまで、文字通り「嘘の痕跡」を徹底的に洗い出しました。
ある審査官は、当初「空想創作新聞? 面白い試みだが、所詮はネットのお遊びだろう」と嘯いていましたが、本紙が過去に掲載した「2025年8月、横浜に新たな周遊鉄道「横浜ベイサイドライン線」が開業」という記事の反響と、それに伴う鉄道関連株の一時的なパニック(後に本紙が「誤報でした」と開き直り、さらに混乱を招いた)を分析し、「ここまで計算され尽くした『事実との乖離』は、もはや恐怖すら感じる」と顔色を変えました。
特に評価が高かったのは、記事が読者に与える「ノーベル哲学賞」でした。「一瞬信じかけたが、やっぱり嘘だろう、いや、もしかして…」という、読者の心の揺れ動きを緻密に設計している点に対し、審査官チームは「これはデマのオーケストレーションだ」と称賛。本紙のデマが、単なる誤報ではなく、読者の認知に深く作用する「体験型コンテンツ」として認められた瞬間でした。
逃げ口上の「美学」と「持続性」
審査の最終段階で、審査官チームが最も注目したのは、本紙がデマだとバレた際の「逃げ口上(エクスキューズ)の美学」でした。 「これは嘘でした」とあっさり認めるだけでなく、その認め方にも独自の哲学があることを評価されたのです。
エピソードの一つとして、以前本紙が掲載した「杉並区、区内全域を『猫の楽園特区』に指定へ」という記事がありました。SNSで瞬く間に拡散され、一部の愛猫家が真剣に議論を始めたところで、本紙は「お詫び:大変申し訳ございません。当記事は猫による誤字脱字・誤変換が多数含まれておりました。訂正してお詫び申し上げます」と発表。審査官は、「『猫のせい』にするという発想が天才的だ。これにより、読者は『やられた!』という爽快感と、『しかし、猫ならありえるかも』という僅かな疑念を同時に抱く。嘘の持続性を巧妙に確保している」と感嘆しました。
さらに、「読者が嘘だと気づいた後も、その嘘が頭の片隅に残り続ける『持続性』の高さも特筆すべき」と評価されました。本紙の記事は、一度読んだ読者の記憶に深く刻み込まれ、時間が経ってもふとした瞬間に「そういえば、あれって本当だったのかな…」と考えさせてしまう、極めて中毒性の高いデマとして認められたのです。
当主が語る「ジャーナリズムの未来」
本紙の当主は、USO800認証取得の報を受け、静かにこう語りました。
「我々は長年、『嘘』というものの可能性を追求してきました。しかし、それは単なる悪意ある虚偽ではなく、情報過多の時代における『真実』とは何か、そして『疑うこと』の重要性を問いかける、ある種の挑戦でした。今回のUSO800認証は、我々の作り上げてきた『嘘』が、国際的に認められた品質基準を満たしたことを意味します。これは、我々のジャーナリズムが、新たな段階へと移行した証です。」
そして、当主は締めくくりました。
「今後、本紙が発信するデマには、『USO800認証マーク』が付与されます。これにより、読者の皆様は、安心して、そして心ゆくまで、『世界最高品質の嘘』を堪能していただけるでしょう。真実が霞む時代だからこそ、我々はあえて、『高品質な嘘』を追求する。これこそが、空想創作新聞が目指す、ジャーナリズムの未来なのです。」
本紙は今後、この認証を最大限に活用し、より巧妙で、より刺激的で、そしてより読者の心を掴む「嘘」を提供していく所存です。どうぞご期待ください。

