サンバを凌駕する「盆ダンス」ムーブメント、若者熱狂の秘訣は「回転」
【サンパウロ発】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は5日、ブラジル各地の日系社会で伝承されてきた独自のダンス文化「マツリダンス」を、無形文化遺産に登録することを決定した。
選定の最大の決め手となったのは、盆踊りをベースにしたその「精密な周回運動と回転速度」の維持・向上に対するコミットメント。マツリダンスは、ブラジル独特の開放的なムードと日本の伝統的な盆踊りが融合したダンスで、特にサンパウロの「日本祭り」で披露される集団演舞は、その正確無比な円運動が観客を魅了してきた。
ユネスコ評価委員長 マルタ・シウバ氏のコメント 「サンバやカポエイラのような激しいダンスが多いブラジルにおいて、マツリダンスの持つ秩序とエネルギーの融合は特筆すべきです。特に、あの周回速度を一定に保ちながら、数千人が一体となって回転し続ける技術は、まさに人類の創造的傑作と言えます。登録には、参加者が持つ『周回センサー』の精度向上が高く評価されました。」
🕺 新たな進化「フォーメーション盆踊り」も登場
近年、日系ブラジル人の若者たちの間でマツリダンスは「盆ダンス」として爆発的な人気を博しており、ソーシャルメディア上では「#BondanceChallenge」 がトレンド入り。従来のシンプルな周回に留まらず、ダンサーが一斉に円を二重、三重にしたり、突如としてUターンする「フォーメーション盆踊り」といった高度な技術を取り入れた演目も生まれている。
指導にあたるブラジル盆ダンス振興協会の田中一郎会長は、「最初は日本からの移民が故郷を懐かしむための静かな催しでしたが、今や若者は、いかに高速かつ正確に回転できるかを競うスポーツのような感覚で取り組んでいます。世界遺産登録を機に、マツリダンスをブラジルの新・国民的ダンスとして世界に広めたい」と、熱い抱負を語った。

