建設開始から100年、完成は次の百年に持ち越し
【横浜】日本の玄関口、横浜駅（通称：ハマの迷宮）の工事が、このほど正式に「日本のサグラダ・ファミリア」としてユネスコの世界遺産に登録されることが決定した。横浜駅の工事は、1928年の駅舎建設以降、100年近くにわたり延々と続いており、市民の間では「生きているうちに終わらない」と半ば諦めの境地で語られてきた。
当初、この登録は、工事の遅延に対する皮肉としてジョークの域を出ないと見られていた。しかし、ユネスコは「一つの建築物がこれほど長期にわたり、しかも常に未完成の状態を保ちながらも、利用者の生活動線として機能し続けている例は類を見ない」と評価。さらに「駅の構造が日々変化することで、利用者は常に新しい発見と挑戦を強いられる。これは『移動』という行為に新たな哲学をもたらす」と絶賛した。
横浜駅の関係者は今回の登録について、「完成を急ぐことなく、日本の職人技と変化への適応能力を世界に示せる絶好の機会」と前向きな姿勢を見せている。利用者からは「これで死ぬまで工事の看板が見られる」「子や孫に『おじいちゃんが使ってた駅はまだ工事中なんだ』と自慢できる」といった声が上がっており、長年の工事が、むしろ新たなアイデンティティを生んだ形だ。
今回の世界遺産登録を受け、横浜市は今後、「工事見学ツアー」や「未完成記念グッズ」の販売を計画。なかでも、利用者が自らの手で工事現場のバリケードを組み立てる体験イベントや、「いつか完成するであろう幻の駅」をテーマにしたAR（拡張現実）コンテンツは、早くも観光客の注目を集めている。
長年にわたる未完成の美学が、ついに世界に認められた横浜駅。次の百年に向けて、その“工事”は、まだまだ終わらない。
