京都府警科学捜査研究所(科捜研)の法医研究員である榊マリコ氏(58)が、捜査史上初めて、被害者が飲んだコーヒー豆から個人を特定するという快挙を成げた。
事件は先週、京都市内の喫茶店で発生した殺人事件。被害者が飲んでいた飲み残しのコーヒーカップが唯一の手がかりだったが、鑑識の結果、指紋やDNAは検出されなかった。しかし、現場に駆けつけたマリコ氏は、被害者の飲み残したコーヒーカップを凝視し、「このコーヒー、いい豆使ってるわね」とつぶやいた後、カップの底に残った数粒のコーヒー豆を採取。科捜研に持ち帰り、分析を開始した。
関係者によると、マリコ氏は「豆の品種、産地、焙煎度合い、挽き方の粒度、これら全てに被害者の人生が詰まっている」と周囲に語っていたという。
その後、マリコ氏はコーヒー豆に付着していたわずかな微粒子から、被害者がよく訪れていた「自家焙煎カフェ・豆太郎」を特定。さらに、そのカフェが使用している独自の焙煎機から出る微細な金属粉と、被害者の衣服に付着していた金属粉が一致したことから、被害者が常連客であったことを立証した。

この情報をもとに、担当刑事の土門薫氏(60)らが聞き込みを行ったところ、被害者の身元が判明。見事、真犯人への逮捕へと事件解決に繋がった。
この偉業に対し、科捜研所長の日野和正氏は「彼女の常識を覆す発想力にはいつも驚かされる。しかし、まさかコーヒー豆からとは…」と述べ、マリコ氏の功績を称えた。
現在、警察庁は全国の警察に対し、鑑識の際に容疑者の指紋だけでなく、コーヒー豆の採取も推奨する方針を固めているという。