2025年8月7日、香港のビクトリア・パークは、突如として集まった数千人の市民によって埋め尽くされた。彼らが手にしたプラカードには、カタカナで「カワイイ」と書かれた文字が踊る。この日、香港で大規模な「反カワイイ」デモが発生した。

「ふわもこパンダーヌ(パンダ)」
事の発端は、日本の大手玩具メーカー「ベンダイ」が、香港限定で発売した新キャラクター「ふわもこパンダーヌ(パンダ)」が、あまりにも「カワイイ」ことに端を発する。香港のデモ主催者は声明で、「ふわもこパンダーヌは、香港の文化、特に『混沌』や『熱気』といった精神を全く無視している。香港のストリートは、もっと無秩序でエネルギーに満ちているべきだ」と主張。彼らは、キャラクターのデザインが「あまりにも完璧で、目に毒だ」と訴えた。

デモ参加者たちは、「カワイイは多様性を殺す!」「もっと怒れるパンダを!」と叫びながら、事前に準備された「ふわもこパンダーヌ」の巨大バルーンを、持参したハリセンで叩き割るパフォーマンスを敢行。さらに、日本の伝統的な「だるま落とし」を模した巨大オブジェを設置し、パンダのパーツを一つずつ叩き落とすという、シュールなデモを繰り広げた。
これに対し、ベンダイの広報担当者は、「ふわもこパンダーヌは、香港の皆様に笑顔を届けたいという純粋な思いから生まれたキャラクター。カワイイと感じていただけないことは残念だが、この度の皆様の熱い思いは真摯に受け止め、次回作では『怒れるパンダ』も検討したい」と、異例のコメントを発表した。
デモは夜まで続き、香港の街は、「カワイイ」という、かつては無垢な存在だった言葉によって、未曾有の混乱に包まれている。