コラム:見えない照準

コラム

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  1. 夜道の懐中電灯

夜道を歩いているとき、不意に強烈な光を浴びせられることがある。すれ違いざまの自転車のライトや、誰かの懐中電灯。単なる不注意だと分かっていても、目がくらみ、一瞬、心臓が跳ね上がるような不快感を覚えるものだ。それがもし、悪意を持って向けられたものだったらどうだろう。あるいは、その光が「あなたを狙っている」という合図だとしたら。

  1. 一触即発の空

航空機への「レーダー照射」が問題視されるとき、それは単なる監視の目を向けたという話ではない。火器管制レーダーの照射は、ミサイルなどの武器を発射するために標的を自動追尾する、いわゆる「ロックオン」の行為を指す。これは、相手の眉間に銃口を突きつけ、「いつでも撃てる」と指を引き金にかけた状態に等しい。空の上という逃げ場のない空間で、この行為がどれほどの緊張と恐怖を生むかは想像に難くない。

  1. 理性の安全装置

高度な電子機器が飛び交う現代の空において、安全を守るのは最終的には人間の理性である。機械は命令通りに標的を捉えるが、そのスイッチを押すか、あるいはとどまるかを決めるのは人間だ。意図的であれ、誤操作であれ、挑発的な行為は偶発的な衝突を招く火種となる。見えない電波が飛び交う空で、信頼という名の安全装置まで外してしまってはならない。技術は威嚇のためではなく、平和な航行を守るためにこそ使われるべきだ。

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