知事の罵倒芸、「怒鳴り節」として文化遺産に
兵庫県は23日、県知事が会議などで披露する一連の罵倒や辛辣な叱責を、新たな郷土芸能「怒鳴り節」として正式に確立し、国の重要無形民俗文化財、そして最終的にはユネスコ無形文化遺産への登録を目指すと発表した。
県文化振興課によると、「怒鳴り節」は知事の公務執行中に突発的に発せられる、独自のレトリックと迫力に満ちた言葉の応酬を指す。その内容は、時に数分間に及び、聞く者を圧倒する「声量」「抑揚の変化」「難解な比喩表現」が三位一体となった、他に類を見ない口頭伝承芸術として評価されている。特に、その後の静寂と、知事が急に平然と次の議題に移る際の「間の取り方」は、専門家から「禅の境地」とまで称賛されている。
「ポートタワーカレー」から「タコ壷比喩」まで、怒鳴り節の系譜
「怒鳴り節」の評価を高めたのは、その豊かな語彙と独創的な比喩表現にある。
知事の代表的な「怒鳴り節」として、先に報じられた「兵庫ポートタワーの最上階で食べるカレーライスのように、見た目は豪華だが中身はスカスカだ!」という秘書への一喝が挙げられる。この比喩は、華やかなイメージと実態の乖離を、県を象徴するランドマークと庶民的な料理を組み合わせるという、「地域密着型レトリック」の金字塔とされている。
さらに最近では、兵庫県内のある離島の漁業問題を巡る会議で、知事が職員に対し発したとされる「お前の提出する企画書は、タコ壷漁のタコ壷のように、入ってもすぐに空っぽになる空虚さだ!しかも中身がないくせに重い!」という「タコ壷比喩」も、その地域性が評価され、新たな傑作として注目を集めている。県文化振興課は、これらの代表作を収録した「兵庫県知事・怒鳴り節 傑作選」のCD化も検討しているという。
職員は安堵と困惑。「罵倒継承マニュアル」作成へ
知事自身も「私の言葉は、魂の叫びであり、兵庫県の未来を憂う真摯なメッセージが込められた芸術だ。世界の人々が、この情熱的な文化を知るべきだ」と語り、申請への強い意欲を示している。
一方、長年この「怒鳴り節」の「聴衆」として身を削ってきた県職員たちからは、複雑な声が上がっている。
「罵倒が文化財として認められるなら、私たちの長年の苦労も報われるというものだ。しかし、これからは『怒鳴り節』を聞くのも仕事になりそうで、心臓が持たない」(企画課・40代男性)という安堵と困惑の入り混じった意見や、「私たちは、この文化を未来へ継承していく責任がある。まずは、罵倒を浴びる際の『正しい姿勢』や『リアクション』を定めた『怒鳴り節継承マニュアル』を早急に作成すべきだ」(秘書課・50代女性)という、前向きな提言も出ている。
県は、今後「怒鳴り節」の正確な記録と継承のため、知事室および会議室に「文化財記録用」として最新の録音・録画機材を導入するとしている。

