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都内某所の公民館にて昨日、特撮ヒーロー戦隊「歩行戦隊コーシンジャー 2ndシーズン」の撮影開始記者会見が行われた。
「一歩ずつでいい、進むその先に」をスローガンに掲げる彼らは、現代社会を蝕む運動不足と効率至上主義が生んだ悪の組織に対抗するため、あらゆる移動を「徒歩」のみで行うという前代未聞の制約を課されたヒーローだ。
1stシーズンでは、「歩きスマホ」を徹底糾弾! スマホを封印されたヒーロー」が世界観だったが、2ndシーズンでは、新しい敵の襲来と、世界各地に出没する敵を「移動により現地集合現地解散」で撃退することになった。彼らの信念である「ゆっくりでもいい、確かに進む」姿勢が強調されたが、記者団からは緊急時の対応能力について不安の声も上がった。
戦隊の設定
2ndシーズンのコーシンジャーは、国民の健康増進と「歩く喜び」の啓蒙を目的とした、健康保険組合連合会公認(申請中)のヒーローチーム。変身に必要なエネルギーは、日々の歩数によってチャージされるシステムを採用している。
メンバー紹介

会見場に徒歩で現れた(到着まで2時間待たされた)メンバー5名のプロフィールは以下の通り。
●コーシン・レッド(リーダー)
- 役名:赤井 歩(あかい あゆむ)
- 設定:元陸上部だが、競歩のルール「常にどちらかの足が地面についていなければならない」を人生哲学にする熱血漢。走ることを「敗北」と捉えている。
- キャッチフレーズ:「踏み出せば風が笑う! 未来を呼ぶ足音(メロディー)!」
●コーシン・ブルー(参謀)
- 役名:青柳 リズム(あおやぎ りずむ)
- 設定:心拍数管理オタクのデータ分析担当。スマートウォッチの数値が乱れることを極端に嫌う。常に一定のBPM(120前後)で歩行する。
- キャッチフレーズ:「止まらない心拍が、夢の道を照らす!」
●コーシン・イエロー(パワー)
- 役名:黄坂 登(きさか のぼる)
- 設定:坂道愛好家。「朝日さす坂の上」でしか変身ポーズが決まらないという面倒なジンクスを持つ。
- キャッチフレーズ:「笑顔の道をウォークオン! 誰かの勇気につながる足跡!」
●コーシン・グリーン(自然派)
- 役名:緑川 散歩(みどりかわ さんぽ)
- 設定:極度の方向音痴だが、それを「迷子ではなく、風が僕を呼んでいるだけ」と言い張るポジティブなハイカー。歌詞にある「止まらない想いが風を動かして」を体現し、風任せでどこかへ行ってしまうため、集合場所にたどり着けないことが多い。
- キャッチフレーズ:「踏み出せば風が笑う! 未知なる道への迂回路(デツアー)!」
●コーシン・ピンク(アイドル)
- 役名:桃井 コマチ(ももい こまち)
- 設定:歩行を「街をランウェイに変える行為」と定義するモデル志望。ショーウィンドウに映る自分を見るために頻繁に立ち止まる。歌詞の「胸の鼓動」を「ときめき」と解釈しており、ときめかない道(舗装されていない道など)は絶対に歩かない。
- キャッチフレーズ:「胸の鼓動が希望を刻む! 輝く私のアスファルト!」
武器・装備
共通武器:ステッキ・カリバー
- 説明:一見するとただのノルディックウォーキング用ポールだが、振り回すことで風圧を生む。グリップの握り心地が人間工学に基づいている。
- 必殺技:「マンポ・バースト」
- 腰に装着した変身ベルト(万歩計型)の数値が1万歩を超えた瞬間のみ発動可能。蓄積された運動エネルギーを一気に放出し、敵を健康的な疲労感で包み込んで眠らせる。

彼らの背後には、通行を妨げられた市民の長い列ができており、
早くも「迷惑だ」との声が上がっている。
新必殺技:「ウォーキング・ウォール(歩行障壁)」
- 説明:5人が横一列に並び、歩道いっぱいに広がってゆっくり進む恐怖の陣形。背後から急ぐ人々や敵戦闘員に対し、物理的かつ心理的なプレッシャーを与えて進路を塞ぐ。「ちょっとすみません」と声をかけづらいオーラを放つ。
巨大メカ:超歩行要塞「キング・サンポオー」
- 説明:従来の2本足メカに、予備の足や杖が追加され、ムカデのような多脚歩行戦車に進化した。
- 新機能:足が増えたことで安定性は増したが、足並みが揃わずによく転ぶ。「誰かの勇気につながる足跡」を残すため、地面をえぐりながら進むので環境へのダメージが大きい。
敵対組織:不健康帝国「ザ・ブトン」
効率化と利便性を追求し、人類の足腰を弱らせようと企む悪の組織。
- 首領:ドン・メタボリック
- 一歩も動かず、全自動マッサージチェアの上から指令を出す支配者。
- 幹部:エスカレーター将軍
- 「階段を使う者は愚か」と説き、街中の階段をエスカレーターに変えてしまう恐ろしい能力を持つ。
- 戦闘員:シットダウナー
- パイプ椅子を持って襲いかかってくる戦闘員。「ちょっと座って休んでいきなよ」と甘い言葉でヒーローの行進を阻む。
- 巨大怪獣:デンドウ・キックボ
- 歩道を猛スピードで暴走する、タイヤのついた板状の怪獣。コーシンジャーの天敵。
- 新怪獣:シェアサイクリン
- 街中のレンタル自転車を合体させた怪獣。電動アシスト機能で坂道をスイスイ登り、人力のイエローを精神的に追い詰める。

電動アシストでスイスイ動くシェアサイクリン。
果たして徒歩だけでこの強敵に勝てるのか、
今後の展開に注目が集まる。
🎤 質疑応答(抜粋)
――5人に増えましたが、連携は取れているのですか?
レッド:「『信じ合うそのリズム』が大切です。ただ、ブルーは一定リズムで歩きたい、グリーンは風任せでふらふらする、ピンクはショーウィンドウで立ち止まる……正直、隊列はバラバラです」
――それでは戦いにならないのでは?
グリーン:「いいえ、『一歩ずつでいい』のです。バラバラに歩いていても、地球は丸いのでいつかはどこかで会えます」
ブルー:「(小声で)計算上、再会には4年かかります」
――ピンクにお聞きします。ヒールで戦うのは大変では?
ピンク:「『昨日の涙を明日に変えて』って言うじゃないですか。昨日の靴擦れの痛みは、明日の美しさの糧になるんです。でも、怪獣が泥だらけの河川敷に出現した場合は、私はパスします。汚れるので」
――最後に、市民へのメッセージを。
全員:「我々は歩行戦隊コーシンジャー! 笑顔の道をウォークオン!……あ、グリーンが蝶々を追いかけてどこかに行きました! すみません、会見は以上です! 捜索(徒歩)に行きます!」
(レッドたちは「グリーン!そっちは高速道路の入り口だぞ!」と叫びながら、徒歩で会場を後にした。)
■スーパー戦隊情報(オマージュ・謝辞)
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ネタ:オリジナルヒーローシリーズ 歩行戦隊 コーシンジャー《世界を歩くmix》

