お盆のピークとなった8月15日、あの世とこの世を結ぶ三途の川で、史上最悪とされる大規模な交通渋滞が発生しました。お盆の帰省ラッシュが、天界の予想をはるかに超える規模になったことが原因とみられます。この異常事態は、現世の私たちにも影響を及ぼし始めています。
船頭さんも悲鳴「まるで盆栽」

三途の川の船頭さんたちは、慣れない事態に大混乱。
「例年なら、ご先祖様たちも列になって順序よく乗ってくれる。だが、今年は違う。スマートフォンでゲームをしながら乗船を待つご老人、きゅうりの馬に乗りたいと駄々をこねる幼児霊、挙げ句の果てには電動車いすに乗ったまま川に入ろうとする猛者まで現れて、まるで盆栽……いや、無秩序な盆栽状態だ!」と悲鳴を上げています。
閻魔大王もこの事態を重く見て、異例の緊急声明を発表。
「まさか三途の川で交通整理をする日が来るとは……。これでは、生前の行いを裁くどころではない! 一時的に、生前の罪を問わない『渋滞特別通行手形』を発行する事態にまで発展した。これを使えば、誰でも天国行きの急行便に乗れる。ただし、乗り放題ではない。一人につき一枚限りだ」と、想定外の事態に頭を抱えている様子でした。
現世にも影響、仏壇の前で正座待機

この影響は、もちろん現世にも及んでいます。
東京都内の会社員、鈴木さんは「おじいちゃんがまだ来ない。仏壇の前で正座して待っているんだが、一向に来る気配がない。おばあちゃん、迷子になっていないか心配だ」と不安な表情。
SNS上でも、
「うちのひいおばあちゃん、普段は時間に正確なのに、今年は全然こないんだけど、三途の川で渋滞に巻き込まれたんか?」
「おばあちゃんから、LINEで『渋滞なう』ってスタンプが送られてきたんだが、これはどういうことだ?」といった投稿が相次いでいます。
渋滞を逆手に取った新商売も
一方、この渋滞を逆手に取った商売も出現。 仏具店では「三途の川渋滞お見舞いセット」と称した、きゅうりやナスでできた精霊馬を模した「自家用車」や「バイク」、さらには「新幹線」まで販売され、飛ぶように売れているとのこと。 また、ある老舗和菓子店では、おはぎを模した「三途の川渋滞緩和お守り」を販売し、こちらも大人気となっています。
渋滞は今夜遅くまで続くと見られており、お迎え提灯を手に、ご先祖様の無事を祈る人々が、各所で夜空を見上げています。