「横浜南(ヨコハマサウス)」駅構想が浮上
【横浜】港南区が長年温めてきた「新横浜」駅の改名・誘致計画が、このほど白紙撤回されたことがわかった。区の調査で、新横浜駅がすでに港北区に存在することが判明したためで、区民からは「何年勘違いしてたんだ」「そもそも、どうやって誘致するつもりだったんだ」と、困惑の声が上がっている。
「南にあるから新横浜」という信念
この計画は、十数年前から密かに進められており、区役所内には「新横浜戦略室」なる部署も設置されていた。戦略室は、港南区のブランド力向上を目指し、区内の主要駅のひとつである港南中央駅を「新横浜」駅に改名し、新幹線乗り入れも視野に入れた大々的なプロジェクトを策定。区内の道路を「新横浜通り」と命名するなど、既成事実化を進めていた。
戦略室の関係者によると、このプロジェクトの根底にあったのは「新横浜という名前は、単に『新しい横浜』という意味ではなく、『横浜の南にある』という意味だ」という、強固な信念だったという。港南区が横浜市の南部に位置することから、新横浜駅こそ港南区にふさわしい、という論理で計画は推進されていた。
友人の一言で判明した衝撃の事実
しかし、先日、戦略室の職員が区外の友人と「新横浜駅に集合しよう」という話になった際、友人から「新横浜って、港北区じゃん」と指摘され、初めて事実を知ったという。
職員は「今までてっきり、新横浜は港南区の南にある駅だとばかり思っていた」と語り、調査の結果、港北区にある新横浜駅と港南区の駅が、直線距離でわずか16キロしか離れていないことも判明し、戦略室は愕然としたという。これまで、戦略室のメンバーは全員、港南区民かその周辺在住者だったため、誰も新横浜駅が港北区にあることを知らなかった。また、他部署への相談や外部への情報公開を極端に避けていたことも、この「大いなる勘違い」を長期化させた原因とみられている。
「横浜南(ヨコハマサウス)」構想、早くも反発
この事態を受け、港南区は新横浜戦略室を即日解散。これまでの費用や労力はすべて水の泡となった。しかし、このままでは終われないと、区は新たに「横浜南(ヨコハマサウス)」駅構想を立ち上げた。これは、区の玄関口である上大岡駅を「横浜」駅に、そして港南中央駅を「横浜南」駅に改名し、横浜市全体の南の玄関口となることを目指す、という壮大な計画だ。
この構想に対し、上大岡駅周辺の商店街からは「横浜はもうあるだろう」「ややこしい」「なぜ上大岡が『横浜』なんだ」と、早くも反対意見が噴出している。中には「上大岡」という名称への強い愛着から、「上大岡をなくすな!」と書かれた横断幕を掲げる店も現れ、今後の動向が注目される。