【身の回りにいる○○○柱】「涅槃の呼吸」で安らかな旅立ちを 全集中の法要が話題

(※この記事はフィクションであり実在の人物・団体とは関係ありません)

日常生活

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 深刻な檀家離れが進む中、若者にも仏教への関心を持ってもらおうと、京都府山間部にある古刹・無限寺(むげんじ)が始めた、人気アニメを彷彿とさせる斬新な法要スタイルが注目を集めている。住職が「呼吸」と「型」を叫びながら儀式を進行するこの法要は、参列者の涙と困惑、そして不思議な高揚感を誘っている。

 「全集中、法要の呼吸……!」

 厳かな空気が漂う本堂に、竈門(かまど)炭念(たんねん)住職(58)の野太い声が響き渡る。祭壇の前に立った住職は、数珠を刀のように構え、深く息を吸い込んだ。

 「壱ノ型! 焼香(しょうこう)突き!」

 鋭い掛け声とともに、住職は一瞬の無駄もない動きで抹香を摘み、香炉へ。立ち昇る煙が龍の形に見えたと証言する参列者もいるほどの手際だ。静寂であるべき空間に響く技名に、親族席からはどよめきが起きたが、住職の集中力は途切れない。

 続く読経の場面では、木魚を叩くリズムに合わせて「弐ノ型! 連打木魚(れんだもくぎょ)・改!」と叫び、目にも止まらぬ速さで木魚を打ち鳴らす。そのBPM(1分間の拍数)は高速トランス並み。さらに、鉦(かね)を鳴らすタイミングで「参ノ型! 流転鉦(るてんがね)!」と声を張り上げ、全ての儀式の節目に技名を合わせるという離れ業を披露した。

 クライマックスは、故人を送り出す最後の場面だ。住職は汗だくになりながら立ち上がり、法衣を翻して叫んだ。

 「奥義! 玖ノ型! 引導(いんどう)・煉獄(れんごく)送り!」

 その瞬間、祭壇の蝋燭の炎が激しく揺らめき、まるで故人の魂が燃え上がるような演出効果(※エアコンの風向きによる偶然)が発生。全ての型をタイミングよく言い終えた住職は、刀を納めるように静かに数珠をしまい、「南無……」と呟いて儀式を終えた。

 祖父の葬儀で喪主を務めた男性(35)は、「最初はふざけているのかと思ったが、住職の額に浮かぶ青筋と『故人を悪鬼(煩悩)から守り抜く』という気迫に圧倒された。これならおじいちゃんも迷わず成仏できると思う」と語り、目頭を押さえた。

 無限寺では今後、四十九日法要向けに「蝶ノ舞・戯れ(たわむれ)供養」や、よりパワフルな「岩の呼吸」を取り入れた墓石建立コースも展開する予定だという。

 竈門住職は取材に対し、「仏の道も鬼殺の道も、慈悲の心は同じ。心を燃やして供養するだけです」と、縁側で茶をすすりながら静かに語った。

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