台東区が発表した新たな観光施策「雷門に新ゲート」が、地元の浅草住民や観光客の間で大きな話題となっています。この計画は、現在ある雷門の巨大な提灯を電動スライド式にし、開閉可能にするという大胆なものです。区はこれを「新時代の雷門ゲート」と名付け、夜間にはライトアップしてプロジェクションマッピングも投影し、新たな夜の観光名所にすると説明しています。
「門」としての機能復活とプロジェクションマッピングの可能性

この新たな取り組みは、雷門のシンボルである高さ3.9メートル、重さ700キログラムの提灯を、左右にスライドする特殊な電動レールで動かすというものです。区の担当者は「提灯を閉じた状態では、その重厚さがより際立ち、開いた状態では『門』としての機能が強調される」と説明しました。雷門が創建された当初の「門」としての機能を現代の技術で復活させる、という狙いがあります。
開閉時間は、毎日午前9時に開門し、午後5時に閉門する予定です。閉門後は、提灯全体をスクリーンに見立てたプロジェクションマッピングが投影されます。桜や花火、江戸時代の風景など、四季折々の映像が映し出され、浅草の夜の街に新たな彩りを加えるとのことです。これにより、夜間の観光客の増加も見込んでいます。
住民からは賛否両論、浅草の伝統と革新の衝突

この斬新な計画に対し、浅草の住民からは賛否両論の声が上がっています。
賛成派からは「提灯が動くなんて、まさに江戸と現代が融合した新しさ。SNS映えもするし、浅草がもっと盛り上がるだろう」といった期待の声が聞かれます。浅草土産物協同組合の関係者は、「新しいもの好きの江戸っ子の気質に合っている。商店街にも活気が出るはずだ」と歓迎ムードです。
一方で、反対派からは「雷門は伝統的なもの。電動化なんて味気ない」「提灯がガチャガチャ動くのは、風情がない」といった否定的な意見も出ています。浅草に住む老舗店の主人は「雷門は動かないからこそ、人々の心に深く刻まれている。歴史を軽んじているのではないか」と、伝統の喪失を懸念しています。
実証実験と今後の展望
区は、提灯の開閉テストを今月中に実施し、来年の春には本格的な運用を開始する予定です。テスト期間中は、浅草寺の僧侶が提灯の開閉に立ち会い、無事を祈願する神事も行われるとのことです。
新ゲートの完成は、浅草の新たなランドマークとなるのでしょうか。それとも、伝統的な街並みを損なうものとなるのでしょうか。「新時代の雷門ゲート」が浅草にもたらす影響に、今後も注目が集まります。