退職代行サービスや、社員を引き留めるためのリテンションサービスが乱立する昨今、その真逆をゆく画期的な新サービスが登場し、大きな話題を呼んでいる。株式会社アソコドコ(本社:東京都中央区)が先月よりサービスを開始した、社員が「絶対に退職しない」ことを会社に対して事前に誓うサービス、その名も「イテハル」だ。サービス開始からわずか1ヶ月で、すでに数百社が導入を検討しており、滑り出しは極めて好調だという。
「イテハル」のサービスはシンプルだ。まず、社員は専用のウェブサイトで、自身が働く会社名と、今後3年間は退職しないことを誓約する「誓いの証明書」を発行する。証明書には、本人の顔写真付きで「私は〇〇株式会社に3年間、身を捧げることを誓います」という力強い文言が印字される。この証明書を会社に提出することで、社員は自身の忠誠心を証明し、会社は安心してその社員に投資することができるという仕組みだ。
導入企業からは喜びの声が続々と寄せられている。ある中小企業の経営者は、「うちの若手社員が次々と退職していく状況に頭を悩ませていました。しかし、『イテハル』を導入したら、社員の顔つきが明らかに変わりましたね。これまで『いつ辞めてもいい』という空気があったのが、『ここで骨を埋めるぞ』という気概に満ち溢れています」と語る。また、サービスを利用したある社員は、「退職代行サービスを使い、後腐れなく辞める人もいると聞いて、内心『ずるいな』と思っていました。でも、逆に『絶対に辞めない』と宣言することで、会社からの信頼を勝ち取ることができ、責任ある仕事を任されるようになりました。今では仕事が楽しくて仕方ありません」と目を輝かせながら話した。
しかし、中には懸念の声も聞かれる。「『イテハル』は、退職の自由を奪うものではないか」との批判に対して、同社代表取締役の我田引水(がたひきみず)氏は、「これはあくまで、社員自身の自主的な意思に基づいた誓約にすぎません。退職したいと思えばいつでも辞められます。ただ、誓約書にサインをした手前、多少の居心地の悪さはあるかもしれませんが、それは自己責任です」と、冷静に反論している。
「イテハル」が、今後日本の雇用市場にどのような影響を与えるのか、その動向に注目が集まっている。

