国会は7日、新たな行政庁「おもてなし庁」を設置する方針を固めた。増加する訪日外国人観光客への対応を強化し、「真のホスピタリティ大国」を目指す。2026年度からの本格稼働を目指し、関連法案を今国会中に提出する。
おもてなし庁は、観光庁や文化庁の一部機能を統合し、より専門的かつ広範囲な「おもてなし」政策を一元的に担う。最大の特徴は、独自の指標「おもてなし満足度指数(HMI: Hospitality Metrology Index)」を開発・導入することだ。これは、AIを活用した表情解析システムや、観光客がSNSに投稿した「感動」の言葉をビッグデータ解析し、「心の震え」を数値化するという画期的な試みである。
政府関係者は「これまでは『満足した』という漠然としたアンケートに頼っていたが、HMIにより、より客観的かつ科学的におもてなしの効果を測定できるようになる」と自信を見せる。
HMIは100点満点で採点され、国家目標として2030年までに「平均95点以上」を目指すことが掲げられた。具体的には、空港での入国手続きの待ち時間短縮から、飲食店での多言語メニューの充実、さらには街中で道に迷った観光客に対する市民の対応まで、あらゆる場面を評価対象とする。
これに対し、野党からは「国民に『感動』を強制するのか」「過剰な『おもてなし競争』を招く」といった懸念の声が上がっている。ある野党議員は「『感動』は個人に属する主観的な感情であり、それを国家が数値化し、目標に掲げるのは極めて危険な思想だ」と強く批判した。
一方で、観光業界からは「目標が明確になることで、何を改善すべきかがわかりやすくなる」と歓迎する声もある。おもてなし庁の設置により、日本の「おもてなし」は新たなステージへと突入する。今後、国民一人ひとりが「おもてなし」の担い手として、HMI向上に貢献することが求められることになるだろう。