この記事は約 3 分で読めます。
「リビングが猫の腹になるスプレー」で話題をさらったフェリス製薬(京都市)は7日、アニマルアロマシリーズの第二弾として、空間用スプレー「ハム・スプリント・ミスト(Ham-Sprint Mist)」を来月上旬から販売すると発表した。
第一弾の「猫」が癒やしを追求したのに対し、今回のテーマは「情熱と狂気」だ。同製品は、生活臭を消臭した後、深夜の部屋でケージの中から聞こえてくる、あの「回し車を全力疾走するハムスター」の熱気と匂いを忠実に再現することを目指した。
開発担当者によると、単なるハムスターの体臭(おがくずと穀物の混じった香り)だけでは不十分だという。「重要なのは『全力疾走』の臨場感です。摩擦熱でわずかに焦げたプラスチック製回し車の匂い、頬袋に詰め込んだヒマワリの種の油分が酸化した香り、そして運動によって発散される小さな生命体の熱気を、特殊な揮発成分で表現しました」と熱弁する。
さらに、香料には特殊な音響心理効果をもたらす成分を微量配合。静かな部屋で目を閉じて深呼吸すると、遠くの方で「カラカラカラカラ……キーッ、カラカラカラ!」という、あの独特の滑走音の幻聴が聞こえる仕組みになっているという。
メインターゲットは、深夜残業や徹夜作業が多いビジネスパーソンだ。
先行試用したシステムエンジニアの男性(29)は、
「午前3時、バグ修正で行き詰まった時にひと吹きすると、見えない場所で何者かが必死に走り続けている気配を感じる。『俺も回し車を回し続けなければ』と奇妙な連帯感と高揚感が生まれ、朝まで乗り切れた」
と、疲労困憊の表情で効果を語った。
ただし、使用上の注意点として、ハムスターを飼育中の部屋での使用は推奨されない。飼い主がスプレーを使用した直後、飼育中のジャンガリアンハムスターが対抗意識を燃やし、通常の3倍の速度で回し車を回転させ、脱水症状を起こしかけた事例が報告されている。
同社は今後もニッチな需要を開拓するとしており、第三弾には「脱皮直後の爬虫類の湿った皮」の香りを予定している。

