【新製品】「古い自分」を脱ぎ捨てる香り シリーズ第3弾「レプタイル・リバース・ウォーター」発売

(※この記事はフィクションであり実在の人物・団体とは関係ありません)

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 「猫の腹」「全力疾走するハムスター」と、立て続けに奇食ならぬ“奇臭”スプレーをヒットさせているフェリス製薬(京都市)は7日、シリーズ第3弾となる「レプタイル・リバース・ウォーター(Reptile Rebirth Water)」を来週から販売すると発表した。

 今回のテーマは、ズバリ「新生」だ。ターゲットとしたのは、失敗続きのプロジェクトや失恋、黒歴史など、過去の自分を清算したいと願う人々である。

 再現したのは「脱皮直後の爬虫類の湿った皮」の香り。開発チームは、世界中の動物園からヘビやトカゲが脱皮する瞬間の空気を捕集。古い角質が剥がれ落ちた瞬間に放たれる、生々しくも瑞々しいタンパク質の匂いと、湿った土壌、そして決して人間に媚びることのない冷ややかな「個」の香りを、独自の技術でスプレー缶に封じ込めた。

 同社のチーフパフューマーは「哺乳類の温かみ(猫)や熱気(ハムスター)とは対極にある香りです。スプレーした瞬間、室温が体感で2度下がったように感じる『静寂』と『湿り気』が部屋を支配します。太古から生き延びてきた生物の、合理的で冷徹な生命力を感じてほしい」と自信を見せる。

 モニターに参加したデイトレーダーの男性(44)は、
「相場で大損した夜にこれを部屋に撒くと、まるで自分が一度死んで生まれ変わったような感覚になる。感情がスッと冷え、爬虫類のような瞬きをしない目で、冷静に次のチャートと向き合えるようになった」
と、その鎮静効果を絶賛する。

 しかし、副作用とも呼べる現象も確認されている。使用者の体温が下がるわけではないが、代謝が心理的に抑制されるのか、部屋でじっと動かなくなる「省エネモード」に入る事例が多発。また、窓を開けたまま使用すると、トンビやカラスなどの鳥類が「獲物がいる」と勘違いしてベランダに集まってくるという報告もあり、同社は「使用時は必ず施錠し、カーテンを閉めてください」と呼びかけている。

 なお、今回の第3弾をもって「アニマルアロマシリーズ三部作」は完結となるが、同社は現在、番外編として「深海2000メートルで押し潰されそうになっているダイオウイカの緊張感」を再現したバスソルトの開発に着手しているという。

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