【社会】全身これ名刺? 「QRタトゥー」若者に急増 体型変化による「リンク切れ」トラブルも

(※この記事はフィクションであり実在の人物・団体とは関係ありません)

産業

この記事は約 3 分で読めます。

 スマートフォンを取り出す手間すら惜しむ「超タイパ(タイムパフォーマンス)世代」の間で、自身の皮膚に直接QRコードを彫り込む「QRタトゥー」が静かなブームとなっている。生身の体を情報端末化する究極のミニマリズムとして注目を集める一方、皮膚の伸縮や加齢による「誤作動」も報告されており、専門家は注意を呼びかけている。

 都内のタトゥースタジオでは現在、予約の3割がQRコードの施術だという。これまでのタトゥーといえば、龍やトライバル柄などの芸術的なデザインが主流だったが、現在は幾何学的な正方形のドット柄が腕や首筋、あるいは額(ひたい)に刻まれている。

 「スマホのロック解除すら面倒。これなら腕を出すだけで連絡先交換が完了する」と語るのは、右腕に自身のSNSアカウントのQRコードを彫った大学生の男性(21)。彼はこれを「スマートスキン」と呼び、「僕自身がプラットフォームになる感覚」と胸を張る。決済アプリのコードを彫り込み、コンビニのレジで手首を突き出して支払いを済ませる強者も現れているという。

 しかし、生体へのデジタル実装には、アナログな人体ならではの予期せぬトラブルがつきまとう。

 港区の会社員男性(28)は、半年前に左胸に入れたQRコードが読み取れなくなる事態に直面した。原因は「筋トレ」だ。  ジム通いで大胸筋が肥大化した結果、正方形だったQRコードが横に引き伸ばされ、情報の配列が物理的に歪んでしまったのだ。その結果、本来は本人のビジネス用プロフィールに飛ぶはずが、歪んだコードを読み取ると、なぜか遠く離れたブラジルの「サンバ教室入会ページ」に接続されるようになってしまったという。

 「名刺交換のつもりで胸を出したのに、相手に『サンバ始めたいの?』と聞かれて商談が破談になった」と男性は肩を落とす。

 また、加齢による「リンク切れ」も懸念されている。皮膚のたるみやシワによってコードが変形し、読み取りエラー(404 Not Found)となるケースだ。一部のユーザーからは「太ったら別人のサイトに飛ぶようになった」「日焼けしたらコントラスト不足で読み取れない」といった苦情が国民生活センターに寄せられている。

 デジタル皮膚科学に詳しい帝都大学の機知山(きさやま)教授は、「デジタル情報は不変だが、人体は常に変化する。その矛盾を肌で感じるのがQRタトゥーだ。アップデート(書き換え)にはレーザー除去という激痛が伴うことを忘れてはならない」と警鐘を鳴らす。

 なお、最新のトレンドとして、読み取り不可になったQRコードの上に、訂正用の二重線をタトゥーで彫り、その横に新しいQRコードを彫り直す「訂正印スタイル」も流行の兆しを見せているという。

タイトルとURLをコピーしました