Amazonは22日、民間の農家から随意契約で買い取った「昭和60年度産備蓄米」20,250トンを、突如として販売開始した。販売価格は10kgあたり2,980円と、現在のコメの相場を大きく下回る破格値。しかし、その「昭和の香り」漂う品質と、購入制限「1人50kgまで」という異例の措置が、SNS上で大きな話題を呼んでいる。
この「昭和米」は、とある農家が倉庫の奥でひっそりと備蓄していたものを、Amazonが「地域活性化とフードロス削減」の名目で独占契約したという。担当者は「古米ではありますが、乾燥剤や脱酸素剤を適切に使っていたため、品質は保たれていると信じています。懐かしい味がするかもしれません」と語っている。
販売開始直後から、サイトはアクセスが殺到しサーバーダウン寸前に。購入者の多くは、安さに惹かれた一般消費者と見られるが、中には「昭和米」の希少性に着目した転売ヤーも暗躍している模様だ。早くもフリマサイトには「幻の昭和米、10kg 9,800円」といった出品が相次いでいる。「味よりコレクターズアイテムとしての価値が高い」という声も聞かれ、一部のネットユーザーは「お米のヴィンテージ化だ!」と盛り上がっている。
食糧問題に詳しい専門家は「古米は保存状態が良ければ食べられますが、風味や栄養価は確実に落ちます。炊飯器で炊く際は水加減を多めにするなど、工夫が必要でしょう」とアドバイスを送る。
一方で、今回の事態は「日本のコメ流通の闇」を浮き彫りにしたとの指摘もある。なぜ、これほど古いコメが市場に出回ることになったのか。そして、この「昭和米」が本当に美味しく食べられるのか、その真価が問われるのはこれからだ。