東京都大島町を揺るがした、名産品「くさや」の密輸事件に驚くべき展開がありました。これまで「海外への不正輸出」と見られていたこの事件は、実は「海外からくさやを密輸入」していたことが判明。警視庁がこの異例の事件について詳細を発表しました。
捜査関係者によると、犯行グループは東南アジアの某国で製造された「模造くさや」を、正規のくさやに偽装して日本国内に持ち込もうとしていたとのこと。この模造くさやは「大島産」のラベルを貼り、国内の消費者に販売する計画でした。
摘発された密輸品のくさやは、本物と比べて「匂いが強すぎる」という特徴があり、ベテランの仲買人ですら「こんなに強烈な匂いのくさやは初めてだ」と違和感を覚えるほどでした。この異変に気付いた税関職員が、成分分析を行ったところ、大島町で使われる伝統的な「くさや液」とは異なる、独自の調合法が使用されていることが判明。模造品であることが明らかになりました。

逮捕された主犯格の男は「本場のくさやの匂いを再現しようと試行錯誤したが、ついやりすぎてしまった」と供述しており、本物のくさやの再現を試みるあまり、逆にその特異な匂いが手がかりとなってしまったという皮肉な結末となりました。

今回の事件を受け、大島町くさや製造漁業組合連合会は「偽物の密輸は許されない行為。改めて、本物のくさやの価値を見直すきっかけになれば」とコメント。町の関係者は「くさやの匂いは町の財産。今回の一件で、その匂いが世界に通じるということが証明された」と、複雑な心境をのぞかせました。