【東京】 現代社会のストレスと希薄な人間関係を背景に、他者の感情を“レンタル”するユニークなサービスが急速に市場を拡大している。特に人気を集めているのが、自身の代わりに泣いてくれる「レンタル泣き屋」と、徹底的に褒めてくれる「レンタル褒め屋」だ。
運営会社「エモ代行サービス」によると、レンタル泣き屋の利用者は、お葬式で涙を流すことができない人や、失恋で泣く気力が湧かない人が中心。利用者のAさん(30代・会社員)は、「大事なペットを亡くしたのに、なぜか涙が出なかった。レンタル泣き屋さんが隣で大号泣してくれて、やっと自分の気持ちに気づけた」と話す。
一方、レンタル褒め屋は、自己肯定感が低い若者や、部下への接し方に悩む上司からの需要が高い。利用者のBさん(40代・経営者)は、「自分のアイデアを誰かに肯定してほしくて利用した。とにかく『すごい!』『天才!』と褒めまくってくれて、自信がみなぎってきた」と満足げに語る。
同社代表の山田太郎氏は、「現代人は、泣くにも褒めるにも『他者の目』を気にしすぎている。当社のサービスは、そうした感情の消費をアウトソーシング(外部委託)することで、利用者のメンタルヘルスを支えている」と、事業の意義を強調した。
専門家は、これらのサービスが「感情のデリバリー」として定着する可能性を指摘する一方で、「自分自身の感情と向き合う機会が失われかねない」と警鐘を鳴らしている。しかし、市場の拡大は止まらず、すでに「レンタル怒り屋」や「レンタル同情屋」といった新サービスも登場し、私たちの“感情の未来”はますます複雑になりそうだ。