都内で毎年開催されるエンジニア自由研究発表会で、今年、異変が起きた。最新のAI技術や機械学習を用いた華やかな発表が主流となる中、今年はAIを一切使わない、手作業やアナログな手法にこだわった発表が大きな注目を集めた。
最高賞に輝いたのは、大手IT企業の若手エンジニア、佐藤さんの研究「自作ルーペによる、はんだ付けの最適化手法」。佐藤さんは、3DプリンターやAIによる画像解析を使わず、自身でガラスを研磨して作成したルーペと、職人の勘を組み合わせることで、従来よりも美しいはんだ付けを実現したと発表。その精緻な仕上がりに、会場からはどよめきが起きた。佐藤さんは「AIに頼ることで失われつつある『手の感覚』を再評価したかった」と語った。
このほかにも、「段ボールと太陽光を利用したPCクーラー開発」や「手書きのコードをOCRで読み取り、バグを予測するシステム」など、アナログな手法にこだわった発表が相次いだ。ある参加者は「AIの進化が速すぎて、ついていけなくなった。たまには立ち止まって、自分の手で何かを作りたかったのかもしれない」と話した。
主催者側は「AIの利用が当たり前になった今、あえて『不便さ』を楽しむエンジニアが増えているようだ。今回の発表は、技術の原点に立ち返る良い機会になった」とコメント。来年の発表会では、さらにユニークなアナログ研究の発表が期待される。
