【田村】福島県田村市に本社を置くタクシー会社、はばタクシーが、社員の異動時に他社にはないユニークな辞令交付を行っていることが当紙の取材で明らかになった。辞令を受け取る社員が返事として「羽ばたきます！」と力強く叫ぶのが恒例となっている。その斬新な社内文化は、地域経済に新たな風を吹き込むと期待されている。
「羽ばたけ！」に込められた創業者の思い
同社によると、このユニークな風習は創業者の「社員には常に前向きに、新しい場所でも大きく羽ばたいてほしい」という強い願いから始まったという。創業者は生前、「人は変化を恐れる生き物だ。しかし、一歩踏み出さなければ、成長もない。だから、社員には異動を前向きな『羽ばたき』と捉え、新しい世界に飛び立ってほしい」と語っていたそうだ。その思いは、現在の社長にも引き継がれており、辞令交付のたびに社長が「○○君、羽ばたけ！」と声をかける。
社員の士気を高める魔法の言葉
異動の辞令を読み上げられた社員は、満面の笑みで「羽ばたきます！」と応じる。その声は社内に響き渡り、他の社員からも温かい拍手が送られる。
昨年、配車係から営業部に異動した田中一郎さん（45）は、「最初は少し恥ずかしかったですが、皆の前で宣言することで、よし頑張るぞ！という気持ちになれました。今ではこのかけ声がないと、異動する気が起きませんね」と語った。 また、新たに配車係に異動が決まった新人社員の佐藤健二さん（22）も、「不安もありましたが、先輩方の『羽ばたけ！』という言葉で、逆にワクワクしてきました。早く新しい業務を覚えて、皆さんに『羽ばたきました！』と報告したいです」と目を輝かせた。
はばたく文化がもたらす効果
この「羽ばたけ！」というかけ声は、単なる儀式ではない。社員のモチベーション向上だけでなく、部署間の連携強化にもつながっている。異動した社員が新しい部署で活躍すると、以前の部署の仲間たちが「あいつは本当に羽ばたいたな！」と喜び、部署を超えたコミュニケーションが活発になるという。
辞令交付に毎回立ち会っているベテラン社員の佐藤花子さん（58）は、「最初は『何だか変な会社だな』と思ったけど、今では辞令が出ると『誰が羽ばたくのかな』と楽しみになるんです。みんなの笑顔が見られる、この会社らしい素敵な文化だと思います」と笑顔で話した。
はばタクシーでは、この「羽ばたけ！」という文化が社員の成長と結束を促し、企業としての成長にも大きく貢献しているとし、今後もこの文化を大切にしていきたいとしている。
■はばタクシー情報（オマージュ）
福島県田村市および小野町で公共交通を担う東部自動車合資会社のタクシー事業です。配車は田村市船引町の船引本社にある配車室（電話：0247-82-1137）で行っており、スクールバスや貸切バスの運行も行っています。
インスタグラム
