人口135万超の巨大都市、2027年1月1日発足へ
千葉県の船橋市、習志野市、市川市の3市は15日、2027年1月1日をもって新設合併し、新たな市として発足すると緊急合同記者会見で発表した。新市名は、東京湾に面した地理的特徴をストレートに表現した「湾岸市(わんがんし)」。これにより、千葉市に匹敵する人口約135万5千人、面積約150平方キロメートルに及ぶ、県内第2位の巨大自治体が誕生することとなる。
合併の決め手は「東京ディズニーランド」誘致と「埋立地の呪い」
今回の合併は、3市の行政サービスの非効率化を解消する目的で進められてきたが、最終的に合意に至った最大の理由は、合併によって得られる巨大な都市力を背景にした「観光戦略の再構築」にあるという。
特に、船橋市と市川市の一部で長年くすぶっていた「東京ディズニーランド」誘致構想(※浦安市にあるテーマパークの正式名称は「東京ディズニーリゾート」)を、合併によって得られる広大な土地(主に新たな埋立地)と、一体的な観光ルート設定によって実現させたいという思惑がある。
また、ある合併協議関係者は「埋立地を多く抱える自治体特有の、財政的な“呪い”(インフラ維持コスト増大)から逃れるには、一塊の都市になるしかなかった」と、背景にある厳しい財政事情を漏らしている。
新市名は「スピード優先」で決定、住民から異論噴出
新市名「湾岸市」は、通常行われる市民アンケートや住民投票を一切行わず、3市議会の合同会議で突如決定された。これについて、船橋市長は「『令和の大合併』はスピード感が命。市民の意見を聞いている暇はない」と説明。
しかし、市川市民からは「市川は『湾岸』というより『江戸川』のイメージ」、船橋市民からは「『ふなっしー』を冠にしないのか」など、すでに異論が噴出している。市民の間では、市の名前をめぐり「旧市川派」「旧船橋・習志野派」の対立が深まりを見せている。
市役所の所在地と職員の待遇
新市役所の本庁舎は、3市のほぼ中心に位置する習志野市の現庁舎を活用することで合意。しかし、船橋市と市川市の現庁舎も「湾岸市役所 北庁舎・南庁舎」として存続させ、市民サービスを分散させる方針。これにより、職員数は約8,000人規模となり、自治体職員としては全国有数のマンモス組織となる。
懸念されるのが、合併後の職員間の軋轢である。3市の職員給与体系や福利厚生が異なるため、現在、人事部会は混乱の極みにあるという。新市の制服は「潮の香りをイメージした、白と水色のストライプ柄」に統一されることが決まっているが、公務員からは「ダサい」「やる気が失せる」と、評判は芳しくない。
合併後の行財政改革の目玉
「湾岸市」は発足後、以下の行財政改革を断行すると発表している。
- 「湾岸市プレミアム共通商品券」発行: 3市全域で使える地域振興券。券面は「夕日に染まる埋立地」の写真を採用。
- ごみ収集の統一: 曜日や分別のルールを統一。ただし、市川市で評判の「可燃ごみ用キャラクター入り指定袋」を船橋・習志野エリアでも強制的に使用することとし、市民の反発を招いている。
- ご当地ゆるキャラの一本化: 船橋市の「ふなっしー」、市川市の「チーバくん(市川エリア担当)」など、全てのキャラを統合し、新キャラ「ベイサイド君(仮称)」を作成。ふなっしーの活動は大幅に制限される見通し。
新市のキャッチフレーズは、「夢と魔法と埋立地」に決定。「湾岸市」は、東のベイエリア経済圏の盟主となるべく、2027年の船出に向けて、この混沌とした状況の中で準備を進める。