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東京都内の焼肉チェーン店で13日、タンクトップ姿の筋肉質の男性客が、人気漫画『鬼滅の刃』に登場する呼吸法を模した「肉の呼吸」を大声で叫びながら焼肉を食べ続ける騒ぎがあった。男性は入店から退店までの一連の動作を「型」として完遂し、提供された肉を焦がすことなく完璧なタイミングで焼き上げたが、店側は「あまりにもうるさい」として男性を厳重注意処分とした。
騒ぎがあったのは「焼肉スタミナ苑・成田店」。目撃者によると、午後7時の混雑時、胸筋を激しく動かしながら入店した30代とみられる男性が、着席するなり「全集中、肉の呼吸!」と叫び、トングを構えたという。
男性は、網に牛脂を塗る動作に合わせて「壱ノ型・網面凪(あみめなぎ)」と静かに唱えると、続けてロース肉を網へ投入。肉が網に触れる瞬間の「ジュー」という音に合わせ、「弐ノ型・水車(みずぐるま)」ならぬ「肉車(にくぐるま)」と叫びながら、手首を高速回転させて肉を均等に配置した。
周囲の客が唖然とする中、男性のパフォーマンスはヒートアップ。肉汁が浮き出てくる絶妙なタイミングを見計らい、「参ノ型・流流舞い(りゅうりゅうまい)」と叫びながら、流れるようなトングさばきで肉を裏返し、一切の焼きムラを作ることなく焼き上げた。
その後も、サンチュで肉を巻く際の「肆ノ型・打ち潮(うちしお)」、ホルモンの炎を氷で消火する「伍ノ型・干天の慈雨(かんてんのじう)」など、独自の技を次々と披露。
クライマックスでは、特上カルビの脂が炭に落ちて炎が上がった瞬間、「心を燃やせ!」と絶叫。「奥義・玖ノ型・煉獄(れんごく)」を発動し、燃え盛る炎の中で肉を数回あぶり、タレを二度付けして白米の上にワンバウンドさせて口へ運んだ。
店長によると、男性のトングさばきと焼き加減は「プロでも舌を巻くレベル」だったという。しかし、食事の最後にお冷(水)を飲む際、「拾壱ノ型・凪(なぎ)」と呟いて数分間無言で立ち尽くすなど、店内の回転率に影響が出始めたため、店員が声をかけて退店を促した。
男性は会計時、レジで「うまい!うまい!」と連呼し、満足げな表情で去っていったという。
日本焼肉協会は取材に対し、「肉への敬意は素晴らしいが、呼吸は静かに行ってほしい。飛沫が飛ぶと衛生的に『鬼』が出る可能性がある」とコメントしている。

