「シャンシャン」と「シャオシャオ」が下町観光の主役に抜擢
台東区上野の上野動物園は1日、新たな試みとして、ジャイアントパンダが人力車を牽引する観光サービス「パンダDE人力車」を開始すると発表しました。この画期的なサービスは、来園者の減少に歯止めをかけ、上野恩賜公園周辺の観光を活性化させる目的で企画されたものです。選ばれたのは、愛らしい姿で人気の「シャンシャン」と、その弟である「シャオシャオ」の2頭。特別に訓練を積んだパンダたちが、園内を巡る全長500メートルの専用コースを、観光客を乗せた人力車を牽引して回ります。
パンダも「出稼ぎ」時代へ? 異例の決断の裏側

動物園側は「パンダの愛らしさと、日本の伝統的な人力車を組み合わせることで、国内外の観光客に新たな上野の魅力を提供したい」とコメント。パンダの健康面にも最大限配慮し、1日あたりの運行回数や積載重量には厳格な制限を設けるとのことです。関係者によると、昨今の動物園経営の厳しさが今回の異例の決断を後押ししたと言われています。「パンダは上野動物園の顔であり、収益の柱でもある。彼らがより積極的に観光に貢献することで、動物園全体の運営が安定する」と、動物園幹部は匿名を条件に語りました。今後は、パンダの他にも、ゾウやキリンが園内バスを牽引するサービスも検討されているとか、いないとか。
試乗会でシャンシャン快走! しかし、一部からは批判の声も
サービス開始に先立ち、関係者向けに行われた試乗会では、シャンシャンが軽快な足取りで人力車を牽引し、参加者からは歓声と拍手が沸き起こりました。試乗した台東区観光課の担当者は「パンダの力強さと器用さに驚いた。これは台東区の新たな名物になること間違いなし」と興奮気味に語りました。
しかし、この発表には一部から疑問の声も上がっています。ある動物愛護団体のメンバーは「パンダは本来、このような労働をさせられるべき動物ではない。動物の福祉を軽視した企画ではないか」と懸念を示しました。また、人力車の車夫からは「我々の仕事が奪われるのではないか。パンダに職を奪われる時代が来るとは……」という悲痛な不安の声も聞かれます。浅草で人力車を営むベテラン車夫は「パンダは可愛いが、道案内や客との会話はできないだろう。人力車の魅力はそれだけではない」と、冷静ながらも悔しさをにじませました。
予約殺到か? 論争の行方は台東区の未来を左右する

「パンダDE人力車」は、来月15日から一般向けの予約受付を開始し、1回あたりの料金は大人1名につき8,888円(税込)を予定しているとのこと。先行予約はすでに抽選倍率が100倍を超えたとも報じられており、その人気ぶりがうかがえます。
このサービスが、上野動物園の経営改善と台東区の観光活性化に繋がるのか、それとも動物福祉や労働問題に新たな波紋を投げかけるのか、賛否両論を巻き起こしながらも、上野の新たなランドマークとなるか、その動向が注目されます。台東区役所には、この件に関する問い合わせが殺到しており、区長は「区民の皆様の声を真摯に受け止め、より良い形でのサービス提供を目指したい」と述べました。