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都内のファミリーレストランで１４日、一人の女性客が漫画『鬼滅の刃』の剣士さながらに、独自の呼吸法と型を叫びながらグランドメニューの全品を完食するという椿事（ちんじ）があった。女性は会計を済ませると、残像が見えるほどのスピードで退店。店側は「あまりの気迫に、オーダーストップを言い出せなかった」と語っている。
目撃者の証言によると、事案が発生したのは大手ファミレスチェーン「ガストロノミア」昭島店。ランチタイムの混雑がピークを迎えた午後０時半ごろ、カウンター席に座った女性（自称・フリーター、２８歳）が、静かに目を閉じ、「全集中の呼吸……！」と呟いたのが始まりだった。
女性は、店員が水を持ってきた瞬間に目を見開き、「食（しょく）の呼吸、壱ノ型！『呼び出しボタン連打』！」と叫びながら、実際には一度だけ丁寧にボタンを押した。駆けつけた店員に対し、メニューの１ページ目から順に注文を開始。周囲の客がざわつく中、料理が運ばれてくるたびに、彼女の演武は激しさを増していった。
最初に運ばれてきた山盛りポテトフライに対し、女性は「弐ノ型！『塩分過多の舞』！」と叫びながら、わずか３０秒で完食。続いて熱々の鉄板ハンバーグが到着すると、「参ノ型！『肉汁（にくじゅう）斬り』！」とナイフを一閃させ、湯気とともに肉塊を胃袋へ収めた。
特に店内を震撼させたのは、ドリンクバーでの立ち回りだった。女性はコップを構え、「肆ノ型（しのかた）！『無限メロンソーダ』！」と詠唱。カルピスとメロンソーダを絶妙な黄金比で混ぜ合わせるその手際の良さは、まさに熟練の剣士（ヘビーユーザー）そのものだったという。
その後も、「伍ノ型・ドリア熱々（あつあつ）」、「陸ノ型・小海老の乱れ咲き」など、次々と型を繰り出し、デザートを含む全８４品、総カロリー約３万５千キロカロリーを３時間で完食した。
全てを食べ終えた女性は、膨れ上がった腹部をさすりながらレジへ向かうと、最後の力を振り絞り、「終ノ型……『個別会計不可・一括払い』！！」と叫び、スマートフォンで決済を完了。「美味かった……」と一言残し、満足げな表情で店を後にした。
対応した店長は取材に対し、「最初は鬼かと思ったが、食べ方が綺麗で残飯もゼロだった。彼女はおそらく『ファミレス柱（ばしら）』に違いない。また来店してほしいが、食材の在庫が尽きたので今日は閉店する」とコメントしている。
