【身の回りにいる○○○柱】父、玩具売り場で「聖夜の呼吸」を習得 全型を駆使しプレゼント奪取・包装へ

(※この記事はフィクションであり実在の人物・団体とは関係ありません)

日常生活

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 クリスマスを目前に控えた週末、激戦地と化した都内の家電量販店玩具売り場で、一人の父親が「聖夜(サンタ)の呼吸」と呼ばれる独自の呼吸法を会得し、見事に子供へのプレゼントを確保・包装まで完遂するという事案が発生した。専門家は「極限状態が生んだ奇跡だが、真似をすると店員に通報される恐れがある」と注意を呼びかけている。

 偉業を成し遂げたのは、都内に住む会社員・佐藤健一さん(42)。佐藤さんは14日午後、人気アニメの変身ベルトやゲームソフトを求める親子連れでごった返す玩具売り場に突入した。

 目撃者によると、佐藤さんは入り口に立つなり深く息を吸い込み、「聖夜の呼吸、壱ノ型!『在庫確認(ザイコカクニン)』!」と叫びながら、スマホアプリと棚の状況を一瞬で照合。通常なら数分かかる在庫チェックをコンマ数秒で終え、目当ての商品がある棚への最短ルートを割り出した。

 続いて、殺到するライバル(他の親たち)のカートをすり抜ける際、「弐ノ型!『人混み流し(ヒトゴミナガシ)』!」と発声。まるで水面を滑るかのような足運びで、接触事故を回避しながら最前線へと躍り出たという。

 しかし、最大の試練は商品棚の前で訪れた。最後の一つとなった人気商品を巡り、別の父親と手が伸びるタイミングが重なったのだ。その瞬間、佐藤さんは「参ノ型!『即断即決(ソクダンソッケツ)』!」と咆哮。迷いのない鋭い踏み込みでわずかに相手を上回り、商品をカゴへ収めることに成功した。

 佐藤さんの演武はレジを通過した後も終わらなかった。「有料ラッピング60分待ち」の掲示を見るや否や、持参した包装紙を広げ、「全集中、聖夜の呼吸、奥義!『セルフ包装(セルフラッピング)・蝶結び』!」と絶叫。  目にも止まらぬ速さでキャラメル包みを完成させ、最後にリボンを完璧な左右対称に結び終えると、周囲の客からは拍手喝采が巻き起こった。

 取材に対し佐藤さんは、額の汗を拭いながらこう語った。  「子供の笑顔を守るためなら、父は柱にだってなれる。ただ、呼吸を使いすぎて、財布の中身が空(くう)になってしまったのが誤算でした」

 なお、量販店側は「店内で大声を出すのは呼吸法であっても控えてほしいが、あの見事な包装技術はアルバイトとして採用したいレベル」とコメントしている。

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