アディスアベバ発 – 世界陸上競技団体(WO)は、来る2026年シーズンより、トラック競技の長距離走における距離表示単位をメートル法からフィート・マイルへと変更する検討に入ったことが、関係者への取材で明らかになった。
この大胆な変更案は、現在開催中の総会で非公開で討議されており、陸上界に大きな波紋を広げている。
伝統回帰か、時代錯誤か
WOのジョン・スミス会長は、本件に関する直接的なコメントを避けているものの、総会出席者の一人は「会長は、陸上競技の歴史的ルーツへの回帰を強く主張している。特に欧米圏における競技普及の観点から、より身近な単位を用いることで、観客や若年層の関心を惹きつけたいという思いがあるようだ」と語る。
もしこの変更が実現すれば、現在10,000メートル走として知られる種目は「約6.2マイル走」に、5,000メートル走は「約3.1マイル走」に名称変更されことになる。
「1500mは3/4マイル、800mは1/2マイルに」

さらに、中距離種目も例外ではない。1500メートル走は「ほぼ3/4マイル走」、800メートル走は「1/2マイル走」といった具合に、フィート・マイルを基軸とした、より直感的な距離設定が検討されているという。
これにより、「400メートルは『1312.3フィート走』として、フィート表示の面白さをアピールしたい」といった、ユニークな意見も飛び出しているとのことだ。
選手からは戸惑いの声も
この突然の方針転換に、選手たちからは戸惑いの声が上がっている。
ある長距離選手は「10,000メートルという数字は、多くの日本人ランナーにとって『万メートル』として特別な響きがあった。それがマイルになると、記録の比較もしにくくなるし、モチベーションを保つのが難しいかもしれない」と語り、困惑を隠せない様子。
一方、元トップアスリートの中には、「時代に合わせた大胆な改革は必要だ。マイル表示によって、これまでとは違う駆け引きや戦略が生まれるかもしれない」と、ポジティブな見方を示す者もいる。
WOは今後、各国の陸上競技統括団体やスポンサー企業と協議を重ね、年内には最終決定を下す方針。陸上界の未来を左右する、前代未聞の改革の行方に注目が集まる。