環境配慮と「タイパ」を重視する新世代
川崎市に拠点を置く複数の暴走族グループが、これまで愛用してきた自動車やオートバイの使用を全面的に停止し、今後はシェアリングサイクルで活動していくことを発表した。この衝撃的な方針転換は、環境への配慮と「タイムパフォーマンス」(タイパ)を重視する現代の若者文化を象徴するものとして、大きな話題となっている。
ガソリン代高騰と「タイパ」が後押し
川崎市中原区に本拠地を置く有名暴走族「蛇(ジャッカル)ロード」のリーダー、カズキさん(19)は「ガソリン代も高いし、騒音問題で通報されるのも正直だるいっす。それに、シェアサイクルならスマホでサッと借りられて、活動場所のすぐそばに乗り捨てできる。いちいち乗り物の置き場所を気にする必要がない。タイパがマジでいいんすよ」と語る。
また、別のグループ「川崎マッドドッグス」のメンバー、タカシさん(21)は「最近はSDGsとかエコとか、そういうのも意識していかないとダサいっしょ。俺らもこれからは自転車に乗って、地球にやさしい活動をしていくっす」と、新たな活動の意義を力説した。
警察との新たな攻防が勃発か
暴走族の新たなスタイルは、すでに複数のグループで広がりを見せている。信号待ちでは一斉にサドルの高さを調整したり、警察官に追跡される際は、車やバイクでは入れない裏道や狭い路地を自転車で駆け抜けるなど、彼らの活動は新たな局面を迎えている。
この動きに対し、神奈川県警交通部幹部は「自転車は免許を必要としないため、従来の交通違反の取り締まりが困難になる可能性もある。新たな対応策を検討する必要がある」と頭を抱えている様子だ。
市民からは戸惑いの声も
この動きに対し、川崎市環境局は「若者の環境意識向上は喜ばしいこと」と歓迎の意を表明。今後は、暴走族の活動を支援するため、シェアサイクルステーションの増設も検討するとのことだ。
しかし、市民からは戸惑いの声も上がっている。長年、暴走族の騒音に悩まされてきた70代の男性は「静かになるのは良いことだが、集団で自転車に乗られると、逆に邪魔になる。威嚇するようにベルを鳴らされたりしたらどうすればいいのか」と不安を口にした。
また、暴走族に憧れる地元の小学生(10)は「自転車では迫力に欠ける。もっとゴツいバイクに乗ってほしい」と、ロマンを求めている様子も見られた。
今回の出来事は、時代とともに変化する若者文化の一端を示しており、今後の彼らの活動がどのように進化していくのか、注目が集まっている。