武蔵村山市（東京都）は、郷土料理として知られる「のっぺい汁」を市の新たな公式マスコットキャラクターに任命したと発表した。この試みは、市の伝統を若い世代に伝えるとともに、地域ブランドの確立を目指すものだ。
のっぺい汁とは
「のっぺい汁」は、里芋、ごぼう、にんじんなどの根菜類をふんだんに使い、醤油ベースの出汁で煮込んだとろみのある汁物。武蔵村山市では古くからお祝い事や来客をもてなす際に出される、家庭の味として親しまれている。具材のうまみが溶け出したとろみが特徴で、体を芯から温めてくれる滋味深い一品だ。
「地味だが、滋味深い」を掲げ、市の顔に
マスコットキャラクターに選ばれた「のっぺい汁」のビジュアルは、どんぶりに盛られたそのままの姿。キャラクター名は「のっぺいさん」に決まった。市の担当者は「奇抜なキャラクターも検討したが、『のっぺい汁』の持つ『派手さはないが、じんわりと心に響く良さ』を市のアイデンティティとして発信していくことにした」と語る。また、「『地味だけど、滋味深い』というキーワードは、今後の武蔵村山市の観光戦略の軸となるだろう」と期待をにじませた。
しかし、市民からは戸惑いの声も
この発表に対し、市民からは戸惑いの声も上がっている。「かわいい要素が一切なくて驚いた」「イベントで中に人が入るタイプの着ぐるみは作れるのか？」といった声や、「うちの犬が汁物のCMを観てほしがるのだが、のっぺいさんが来たらどうなるのだろう」といった、より現実的な悩みを訴える声も聞かれた。
着ぐるみは、里芋の形を模したシンプルなデザインにする方向で最終調整が進められているが、市の担当者は「子供たちが怖がらないかだけが心配だ」と、早くも懸念を示している。
