深刻化する「ランナーと歩行者の速度差問題」
千代田区は、健康ブームで利用者が激増している皇居周回コースに対し、新たな規制を導入すると発表した。近年の「皇居ラン」人気で、高速で走るランナーと、のんびりと皇居を散策する一般歩行者との間で接触事故が増加していることを受けた措置だ。
区の担当者は、「近年、ランナーの皆さんの速度が年々上昇しており、まるでオリンピックの短距離走選手のようだと多くの苦情が寄せられています。特に、桜田門から半蔵門にかけての坂道では、下り坂を利用した『タイムアタック』が横行しており、我々も事態を重く見ていました」と語った。
歩行専用レーンと「速度警告システム」の導入
この問題に対処するため、千代田区は皇居外苑の舗装路の一部を「歩行専用レーン」として整備することを決定。このレーンには、地面に大きく「走るな」と赤い文字で記されるほか、歩行速度を計測するセンサーも設置される予定だ。
センサーが時速5km以上の移動を検知した場合、付近のスピーカーから「速いです！危険です！速度を落としてください！」という警告アナウンスが流れ、同時に、付近のLEDパネルにランナーの顔写真と「危険人物」という表示が映し出されるという。（速度警告システム）
ランナーの聖地が「芝生ラン」コースに？
さらに驚くべきは、ランナーへの芝生走行の義務化だ。区の担当者は、「ランナーの皆さんは、新しい歩行者レーンを避け、皇居外苑の芝生や土の上を走っていただくことを強く推奨します。芝生の上を走ることで、自然と速度が落ち、ランナーの皆さん自身の足への負担も軽減されるという一石二鳥の効果を期待しています」と語った。
この発表に対し、長年皇居ランを趣味とするベテランランナーは、「皇居はランナーの聖地。舗装路の硬さが、私たちランナーにとっては心地よい反発を生むのに。新しい芝生の上で走るとなると、足への負担が増大し、タイムにも影響が出る。我々の長年の努力が水の泡だ」と憤慨している。
観光客も混乱、「歩く皇居、走るランナー」の時代へ
この規制導入により、ランナーからは「皇居ラン文化の終焉だ」と悲鳴が上がる一方、一般の観光客からは「これで安心して皇居を散策できる」と安堵の声も聞かれる。
皇居外苑のお土産店店主は、「最近はランナーの皆さんがお店の前をすごい勢いで走り抜けていくので、お客さんが驚いていました。これからは、もっとゆっくりお店を見ていただけるかもしれませんね」と期待を寄せている。
千代田区は、新ルールへの移行を円滑に進めるため、今後数週間で「皇居ランナーのための芝生走行講習会」を開催する予定だという。講習会の内容は、芝生での正しい走り方や、芝生が持つランニング効果についての座学など。初回の参加者には、もれなく「千代田区公式・芝生ランナー認定バッジ」がプレゼントされるとのことだ。
