長年にわたり、日本のお茶の間を熱くしてきた伝説の刑事ドラマ「太陽にほえろ」。ジーパン、マカロニ、テキサス、そしてボス……個性豊かな刑事たちが七曲署を舞台に活躍する姿は、多くの視聴者の心に焼き付いています。このドラマの象徴ともいえるのが、壮大なテーマ曲です。このインストゥルメンタル曲に、実は全編の歌詞が存在していたことが、当時の制作スタッフの証言により、この度明らかになりました。
関係者と出演者のみに共有された「幻の歌詞」
今回発見されたのは、番組の放送開始初期にごく一部の関係者と出演者のみに共有されていたとされる非公式の歌詞です。関係者によると、これは「番組の企画意図と世界観をスタッフとキャストがより深く共有するため」に、当時の音楽担当者によってひそかに制作されたものだといいます。
公開された歌詞の一部は、七曲署の刑事たちの情熱と使命感をストレートに表現しており、ドラマの持つ骨太な雰囲気そのままです。
(歌詞の一部抜粋)
今日も街に悪がはびこる 拳銃を握り走り出す 若者たちの熱き誓い 太陽の下 命を懸けて 守り抜く この街の平和 (中略) ボス、今日も俺たちは 孤独なハンター 背中に太陽を浴びて 照らし出す 真実を
採用を見送った「ボス」の一言
なぜ、この情熱的な歌詞が世に出ることがなかったのでしょうか?
当時のプロデューサーやディレクターの証言によれば、テーマ曲に歌詞を付ける案は、制作の初期段階で一度検討されたものの、主演の石原裕次郎さん(ボス役)の強い意向により見送られたとのことです。
裕次郎さんは、提出された歌詞を読み、「内容は素晴らしい」と評価しつつも、「このメロディは、言葉で語るよりも、その音色だけで全てを伝えるべきだ。トランペットの魂の叫びこそが、七曲署の刑事たちの全てを物語っている」と主張。結果として、インストゥルメンタル曲としての採用が決定されました。
しかし、裕次郎さん自身はこの歌詞を大変気に入り、撮影の合間や休憩時間には、誰にも聞こえないように小声で口ずさんでいたというエピソードも残されています。
今回の発見は、「太陽にほえろ」のテーマ曲に秘められたもう一つの物語を明らかにするものであり、長年のファンにとって大きなサプライズとなりました。このテーマ曲が、歌詞という新たな視点から再び注目されることになりそうです。

