【東京】2026年卒業予定者を対象とする就職活動が本格化するなか、各企業が採用基準を大きく変更していることが判明した。従来の「学歴」や「資格」といったスペック重視の採用から、「人生経験」を重視する採用へとシフトする動きが顕著だ。特に、多くの企業がエントリーシートの必須項目に「あなたが経験した最大の挫折と、そこから何を学んだか」を盛り込み、人事担当者を悩ませている。
この背景には、新入社員の早期離職率の高さがある。多くの企業が、「机上の空論だけでは社会の荒波を乗り越えられない」と判断。特に、新卒採用においては、予期せぬトラブルや困難に直面した際に、どう立ち直り、解決策を見出せるかという「地力」を測りたいという狙いがある。
某大手IT企業の人事部長は匿名を条件に、以下のように語る。
「今年は面接でも『アルバイトでクレーム対応した際の心臓の鼓動を説明してください』とか、『スマホを落として画面を割った時、最初に何を感じましたか？』といった質問をしています。単なる経験談ではなく、その時の感情や思考のプロセスを深掘りすることで、その人の本質が見えてくるんです」
しかし、この方針転換は就活生に新たなプレッシャーを与えている。「挫折したことがない」という学生は少なくなく、中には「人生経験を増やすために、わざと試験で赤点を取った」とか、「自転車で転んで、わざとケガをした」などという、涙ぐましい努力をしている学生もいるという。また、SNS上では「親に頼んで、家庭内の修羅場を作ってもらう」といった過激なアドバイスまで飛び交っており、まさにカオス状態だ。
今後、この「挫折採用」が主流になるかはまだ未知数だが、就職活動は「自分を良く見せる」場から、「いかにリアルな自分を見せるか」という、よりパーソナルな戦いへと変貌しつつあるのかもしれない。
