【国分寺】長らく市民に親しまれてきた国分寺市が、この度、国際化への対応と若者層へのアピールを目的として、市名をカタカナ表記の「こくぶんじシティ」に改称する方針を固めたことが、市関係者への取材で明らかになった。早ければ来年4月からの施行を目指すという。
複数の関係者によると、市内部では数年前から市名改称に関する議論が活発に行われていた。特に、インバウンド需要の増加や、近隣の立川市や武蔵野市といった「都会的なイメージ」を持つ自治体との差別化を図る上で、「国分寺」という漢字表記が「古臭い」「観光客に発音しにくい」といった意見が挙がっていたという。
「こくぶんじシティ」への改称案は、若手職員から提出されたもので、「シティ」という響きが「都会的で、活気がある」というイメージを与える点が評価された。また、市内の大学に通う学生へのアンケートでも、この案が最も高い支持を得たことも、最終的な決定を後押ししたようだ。
「伝統」か「革新」か? 議論を呼んだ市名改称の背景
国分寺市役所関係者によると、市名改称の議論は、市が策定した「新・国分寺未来ビジョン2040」の中で、国際競争力の強化と人口減少対策が喫緊の課題として浮上したことをきっかけに本格化した。特に、2020年代に入り、東京都心部へのアクセスの良さから若年層の流入が増加しているものの、「国分寺」という地名が歴史的な重みを持つ一方で、新しい層への訴求力に課題があるという認識が共有されたという。
「こくぶんじシティ」という案が浮上した当初は、市議会の一部議員や一部市民団体から、「歴史と伝統を軽んじる行為だ」「国分寺のアイデンティティが失われる」といった強い反対意見も出た。しかし、市が実施した市民アンケートでは、特に20代から40代の層で「こくぶんじシティ」への好意的な意見が多数を占め、最終的には「未来志向」の姿勢を示すために改称に踏み切った形だ。市担当者は、「これからの国分寺は、歴史を重んじつつも、常に新しいものを取り入れて進化していく街でありたい」と語った。
ゆるキャラ「ぶんじー」もリストラか? 新キャラ「シティーボーイぶんじ」に波紋


市名改称に伴い、これまで国分寺市の顔として活躍してきた公式ゆるキャラ「ぶんじー」の去就も注目されていたが、こちらも新たな展開を迎える。市は、「こくぶんじシティ」のイメージに合わせた新ゆるキャラとして、サングラスをかけ、スケートボードに乗ったクールな少年風のキャラクター「シティーボーイぶんじ」を公開した。
市担当者は「ぶんじーは国分寺の歴史や自然を象徴する素晴らしいキャラクターでしたが、今後は『こくぶんじシティ』の持つ先進的でモダンなイメージを表現するキャラクターが必要だと判断しました」と説明。新しい「シティーボーイぶんじ」は、SNSでの発信力強化や、若者向けのイベントでの活躍が期待されているという。しかし、この決定には、長年ぶんじーを愛してきた市民から「ぶんじーを捨てるなんて信じられない」「国分寺らしさが失われる」といった悲鳴にも似た声が上がっている。中には、「ぶんじーを守る会」を結成し、市に対して再考を求める署名活動を開始する動きも出ているという。
市役所庁舎も全面改装! LEDネオンで「こくぶんじシティ」をライトアップ

さらに、市名改称とゆるキャラ刷新に加えて、国分寺市役所の庁舎も全面改装される予定だ。外壁には巨大なLEDネオンが設置され、夜間には「こくぶんじシティ」の文字が光り輝くデザインになるという。これもまた、市が目指す「都会的で洗練されたイメージ」の一環だ。市役所内には、最新のデジタルサイネージが導入され、市民向けの情報をスタイリッシュに発信する計画も進んでいる。
市の財政状況を心配する声も上がっているが、市は「国際都市『こくぶんじシティ』としてのブランド力向上には必要な投資」と強調。改修費用については、企業からの協賛金や、新たなシティプロモーション事業の一環としてクラウドファンディングも活用する予定だという。今後、市議会での承認を経て、正式に改称や新キャラへの移行、庁舎改修が進められる見込みだ。
市民の反応は賛否両論、未来の国分寺はどこへ向かうのか
今回の市名改称やキャラクター刷新、庁舎改修といった一連の動きに対し、市民の間では賛否両論が渦巻いている。
肯定的な意見としては、「新しい響きで街のイメージが明るくなる」「若者にとって魅力的な街になる」といった声が聞かれる。特に、市内の大学に通う学生からは「『こくぶんじシティ』って響き、なんかカッコいい。友達にも自慢できる」といった声も上がっている。
一方で、「昔ながらの国分寺が失われるようで寂しい」「税金の無駄遣いではないか」といった否定的な意見も根強い。「ぶんじーがいなくなるのは悲しい」という声も多く、市民の間に戸惑いが広がっていることは否めない。
市は、「市民の皆さまの声に真摯に耳を傾けながら、新しい『こくぶんじシティ』の魅力を創り上げていきたい」とコメントしている。この大胆な改革が、国分寺市にどのような未来をもたらすのか、市民の期待と不安が入り混じる中で、その動向が注目される。