毎年恒例の「牛丼の日」(8月29日)が、今年は超人レスラー・キン肉マンの誕生日とまさかの合併を果たし、牛丼チェーン店「メガ盛り一番」が前代未聞のパニックに陥った。
この異例の試みは、2008年に一度だけ実施された伝説のコラボ企画「キン肉マン牛丼」が、17年の時を経て復活するという触れ込みで発表されたもの。しかし、蓋を開けてみれば、企画は「キン肉マンが牛丼を半額にする権利」という、極めてあいまいな内容だった。
各店舗にキン肉マンのコスプレをした店員が配置されたものの、彼らの使命は「肉とごはんの比率を筋肉増強剤のように調整する」という、無意味な作業を繰り返すこと。さらに、半額にするかどうかの最終判断は、キン肉マンの得意技「キン肉ドライバー」のポーズを客が完璧に模倣できた場合のみ、という過酷なルールが課せられた。
このため、店内はキン肉ドライバーのポーズを必死に練習する人々と、それに戸惑う一般客でごった返した。ポーズの判定を巡って店員と客の間で口論が勃発する事態も相次ぎ、一部店舗ではキン肉マンのテーマソング「キン肉マンGo Fight!」が爆音で流れ続けるという、カオスな状況に陥った。
結局、この日、牛丼が半額で提供されたのは、全国でわずか3人。そのうちの1人は、偶然居合わせたプロレスラーだったことが判明している。
この騒動を受け、外食産業ジャーナリストの山田太郎氏は「牛丼とキン肉マンの融合は、期待と裏切りの間のどこかに着地してしまった。来年の『牛丼の日』は、静かに牛丼だけを食べる日にしてほしい」とコメントした。