「異変」はまさかの11倍! 主人公は888回ループの末に悟りを開くか
【東京】Steamで異例の大ヒットを記録し、国内外で話題を呼んだウォーキングシミュレーターゲーム『8番出口』が、ハリウッドでまさかの実写映画化されることが明らかになった。タイトルは『88番入口』となり、監督は気鋭の若手で知られるJ.D.ウォン氏が務める。公開は来年末を予定している。
主人公は「異変」に気づかず、ひたすら歩き続ける
本作は、ゲームのコンセプトを大胆に踏襲しつつ、独自の解釈を加えた意欲作となる。ゲームでは「異変」を見つけて引き返すか、異変がなければまっすぐ進むか、というシンプルなルールだったが、映画版ではそのルールが「異変が88個発生しないと脱出できない」という、より絶望的な設定に変更された。
主人公のケンタロウ(演:ケン・ワタナベ)は、なぜか永遠に続く地下通路をひたすら歩き続ける。異変を見つけるたびに「よし、見つけた!」と喜び、メモを取るのだが、その異変の数が88個に達する前に、何らかの理由で必ず「入口」に戻されてしまうのだ。時には天井が突然落下し、次の瞬間にはまた元の場所に戻っている、といった具合だ。
誰もが「気づくはず」の異変に、なぜか気づかない主人公
見どころは、ゲームファンなら誰もが「あれ、これって異変だよね?」と瞬時に気づくような奇妙な出来事の数々を、主人公のケンタロウがなぜか全く異変だと認識しない点だ。
例えば、
- エレベーターの扉から巨大なナマケモノが出てきても、「ああ、このビルはペットOKなんだな」と納得する。
- ポスターの人物の目が光っていても、「こういうデザインなんだろう」とスルーする。
- すれ違ったサラリーマンが「おや…」と消滅しても、「あ、瞬間移動ができる人か」と感心する。
といった具合で、ケンタロウのあまりに鈍感な様子に、観客は思わず「そこは引き返せよ!」とツッコミを入れたくなることだろう。
J.D.ウォン監督「この映画は『無限の肯定』を描く物語だ」
監督のJ.D.ウォン氏は、今回の映画化にあたり、「『8番出口』は異変を見つけることで出口にたどり着くゲームでしたが、『88番入口』は異変を全て受け入れることで、新たな世界への入口が開く物語なんです。主人公のケンタロウは、異変をネガティブなものとして捉えず、すべてを肯定し続ける。その先に、何が待っているのか。この映画は『無限の肯定』を描く、深遠な哲学ドラマでもあるんです」と語っている。
公開は来年末を予定。果たしてケンタロウは88個の異変を見つけ出し、無限ループから脱出することができるのか。あるいは、異変を受け入れ続けることで、新たな世界を創造してしまうのか。世界中のゲームファン、そして映画ファンの注目が集まる。